ミネルヴァ法律事務所破産

この罪は一生背負っていかなくてはならない!

「過払い金返還」のCMで顧客を集めていた「東京ミネルヴァ法律事務所」が破産したことを巡り、実質的に運営していたとみられる広告会社側が不正に資金を流用したとして、顧客17人が6000万円の損害賠償を求める裁判を起こした。

負債総額は51億円。弁護士法人としては過去最高額。債権者の多くは同事務所に過払い金返還請求を依頼した人々で、東京ミネルヴァは消費者金融会社から返還を受けた過払い金を依頼人に返還せず流用していたという。

一部報道によると、東京ミネルヴァ代表の川島浩弁護士は同事務所が事実上消費者金融会社OBに牛耳られていたとしている一方、名指しされた消費者金融会社OBはこれを否定するコメントをしている。

 

ミネルヴァ法律事務所破産」への1件のフィードバック

  1. 弁護士事務所の「乗っ取り」とは…。

    川島弁護士の言うとおり、消費者金融会社OBによる乗っ取りなのかどうかは今後明らかにされるだろうが、弁護士事務所が弁護士以外の人物に乗っ取られるという事態は昔から一定数発生している。

    法律行為は弁護士にのみ許される独占業務で、弁護士事務所も弁護士以外が経営できない。このため、表向きの経営者は弁護士のまま、乗っ取った勢力が事務長を送り込み、銀行印も弁護士印も弁護士から取り上げて管理してしまう。強引かつ不法な債権回収も、弁護士印を使うことで正規の裁判手続きの形をとり、合法を装うことができる。

    弁護士は、事務所経営に必要なお金と顧客からの預かり金とを分別管理するための銀行口座を持っているが、事務所を乗っ取られると、分別口座も乗っ取り勢力の思うがままになる。

    今回の東京ミネルヴァの破産は、自ら申し立てる自己破産ではなく、債権者が申し立てる債権者破産の形をとっている。申し立て債権者は川島弁護士が所属する第一東京弁護士会。原因債権は未納の弁護士会費である。

    弁護士事務所の乗っ取り「東京ミネルヴァ破綻」で判明した弁護士事情の背景…

    事務所が乗っ取られていたのであれば、印鑑も川島弁護士の手元にはなかったはずだ。預り金が持ち出されるのを止めるために、破産手続きによって裁判所の管理下に入り、財産の保全を図ろうと考えても、弁護士印がなければその自己破産の申し立てができない。

    そこで、6月10日に弁護士法人を解散。川島弁護士以外に10人近くいたとされる所属弁護士を他の事務所に移籍させるなどし、「第一東京弁護士会に駆け込んで債権者として破産申し立てをしてもらうよう頼み、第一東京弁護士会もこれに応じた」という。

    事務所を乗っ取られた弁護士に弁護士会がある種の配慮をした事例は過去にもある。

    債務整理に伴い、2015年9月に弁護士法違反の罪で起訴され、刑が確定したことで弁護士資格を失ったA弁護士は、2005年9月からの10年間に、懲戒処分8回という前人未到の記録を持っている。

    弁護士には自治が認められており、処分も弁護士会による懲戒制度をもって行う。懲戒処分には軽いほうから「戒告」「業務停止」「弁護士会退会命令」「除名」の4段階があるが、戒告が口頭注意レベルであるのに対し、業務停止はそれがたとえ1日であってもすべての顧問先を解約しなければならないため、各段に重くなる。

    弁護士は事務所所在都道府県の弁護士会と、日本弁護士連合会の双方への加入が義務付けられており、退会命令が出ると、他の都道府県の弁護士会への加入ができなければ廃業を余儀なくされる。そして、除名処分になると即廃業である。

    とかく身内に甘いという評価はあるものの、これだけ何度も懲戒処分を受けながら、A弁護士が退会命令や除名処分を受けなかったというのは極めて異例だ。

    8回の処分の内訳は、最も軽い戒告3回、2番目に軽い業務停止5回。処分理由の大半は事件放置と怠慢だった。事務所をNPO法人の殻を被った非合法組織に乗っ取られていたA弁護士は、このNPO法人からの依頼を放置したり、怠慢な処理をしていたために、このNPO法人からたびたび懲戒請求を受けていた。

    つまり、事件放置や怠慢な処理は、不法行為に荷担しないためのA弁護士なりの精一杯の抵抗だった。その事情を弁護士会側も理解していたため、これだけ懲戒回数を重ねても、退会命令や除名処分は出さなかったのだ。

    増える50歳未満の懲戒処分者
    過去15年間の懲戒処分者の処分時の年齢をみると、50歳以上が7~8割を占めている。近年は50歳未満の構成比が上昇傾向にはあるが、50歳代未満は法曹人口自体が大きく伸びている。全体の人数が増えれば懲戒処分を受ける人数も当然に増える。

    新司法試験世代が法曹界にデビューする直前の2007年に50歳未満の弁護士数は全体の49%だった。それが2019年には64.8%に上昇(いずれも3月末)。一方、弁護士総数に対する懲戒処分者の割合は2007年は0.12%(数字は12月末。以下同)。直近でも0.1%とほぼ横ばいだ。これに対し、70歳以上の弁護士総数に対する懲戒処分者数の割合は、年によって変動はあるが、0.3%~0.8%と、50歳未満の3~8倍である。

    川島弁護士の登録番号は4万3000番台である。ということは司法修習期は新63期で、弁護士経験10年目である。かつて所属した事務所のブログによれば、「ロースクールを出て最短で司法試験合格した」とあるので、年齢はおそらく35~36歳だ。

    川島弁護士が所属弁護士会に駆け込むという、極めて珍しい選択をしたことと、その若さとは決して無関係ではないだろう。事務所乗っ取りに遭うのは、事務所経営に苦しんでいる比較的年齢の高い弁護士が多く、弁護士会の追及から逃げ回ることはあっても、自ら事態の打開に向けて弁護士会に駆け込む話はまず聞かない。

    だが、川島弁護士はまだ若く、コトがコトだけに、今後刑事訴追される可能性もゼロではない。このため、失った法曹資格を取り戻すのに10年かかったとしてもまだ40代半ばで、やり直しはきく。川島弁護士には過去に懲戒歴はなく、いきなり事務所破産という選択をした。

コメントを残す