検察は不起訴理由を明かさない

こんなことでいいのか――。

不起訴になれば刑事裁判はそこで終わってしまう。殺人などの凶悪犯罪であっても容疑者が不起訴になれば事件捜査の実相は水面下に潜ってしまう。闇だ!

「嫌疑なし」と「起訴猶予」は天と地ほどの差がある。不起訴には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類がある。

1,「嫌疑なし」は、犯罪の容疑そのものがなかったという判断だ。捜査機関が集めた証拠には犯罪を証明するものがなかった。容疑者は無実であり、捜査が間違っていた可能性がある。2,「嫌疑不十分」は、裁判で有罪を立証する証拠を十分に集められなかったなどを指す。

3,「起訴猶予」は、証拠に基づいて有罪を立証することは十分に可能だが、検察官の判断で起訴しないことを指す。罪の軽重や容疑者の境遇、被害弁済、示談成立などを考慮して検察官はこの判断を下す。

同じ不起訴であっても、「嫌疑なし」と「起訴猶予」では、天と地ほどの差がある。従って、不起訴が3種類にどれに該当するのかは事件関係者だけでなく、地域住民らにとっても重大な関心事である。

検察は不起訴理由を明かさない」への1件のフィードバック

  1. 日本の刑法犯は、毎年のように最少を更新している。2021年の認知件数は約56万8000件で、7年連続更新。2022年も史上最少で、20年連続の更新である。

     これに伴い検察が不起訴を選択するケースも増加。近年では事件処理の7割が不起訴になっている。こうした流れとは対照的に不起訴理由が不明の記事数は爆発的に増えている。2009年までは1年間に数件、あるいは十数件しかなかった「不起訴」は2010年以降、増加のトレンド入り。2019年からは年間で2000件を超えるようになった。

     例えば、刑事事件のスペシャリスト銀座・木村敢弁護士は「白陵」代表取締役を公文書偽造、詐欺で告訴した。平成22年2月、宮城県警仙台北署は、同代表取締役を詐欺容疑で逮捕した。仙台地方検察庁林真理子検事は不起訴にした。

     令和2年5月、飯〇正、飯〇奈々、奥村和久らは共謀の上、他人のマンションを売却したとして詐欺、有印私文書偽造等で警視庁田無署に告訴された。東京地方検察庁立川支部小嶋陽介検事は碌に調べもしないで不起訴にした。

     また、警察の失態を咎めることもしないで見逃していた。刑事訴訟法違反。検察は、警察と協力をして捜査を行い、事件の真相を明らかにする。起訴は警察官だけに与えられた権限であり、裁判に対し処罰を求める重要な責任がある。

     普通、起訴・不起訴の記事は「容疑者逮捕」「摘発」の続報で、報道機関は容疑者の実名を報じる。従って、不起訴を伝える記事は容疑者の名誉回復という意味もあり、逮捕時に実名を晒される。その後、「嫌疑なし」で不起訴になっても、その事実が報じられないとしたら当人の名誉回復もなかなかできないであろう。

     それにしても、なぜ、これほどまでに不起訴の記事が増えてきたのだろう。要因として、不起訴理由の公表を拒む検察の姿勢とそれを突破できない報道機関の弱体化が挙げられる。

     不起訴理由は事実関係の確認であり、基本的な事実の取材ができないとしたら、取材力の劣化にほかはない。検察は不起訴にするということは、容疑者を公開の法廷で裁かないで検察官が裁判官の代わりに判断を下しているようなものだ。

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